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ノワイヨン大聖堂

前回イギリスの初期ゴシックをご紹介したので、今回はフランスの初期ゴシック建築の一つ、ノワイヨン大聖堂をご紹介したい。

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~ノワイヨン大聖堂西正面~

ノワイヨンはピカルディー地域圏に属する、パリの北約100kmのところにある小さな町で、人口は15千人程だが、6世紀には既に司教座が置かれていた。ということで、現存するゴシック様式の大聖堂以前から、ここには司教座聖堂=大聖堂が存在していたが、ロマネスク様式のそれが1131年に火事で崩壊(ゴシック様式の大聖堂が建設される際、前身となるロマネスクの大聖堂が火事に遭うことが本当に多い。もしかするとここも放火だったのか?)、1145年にゴシック様式で新大聖堂の建設が開始される。今迄にご紹介した同じく初期ゴシックのサンス大聖堂(1135年)の後、ラン大聖堂(1155年)の前、ということになる。なお、ノワイヨンの司教座は1801年に廃止、ボーヴェに統合されたので、正確に言うと、今は大聖堂では無くなっている。

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~南側より西正面を見る~

周歩廊、放射状祭室から開始された大聖堂の建設は、その後内陣、翼廊と進み、12世紀後半には内陣が完成する。身廊の完成は13世紀が明けてから、西正面の建立を見るのは1231年のことだった。その他の初期ゴシック建築同様、未だロマネスク様式の面影を残すところが多い。各部を順に見てみよう。

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~西正面を見上げる、素朴だが力強い垂直線が印象的~

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~入口に付加されたポーチ~

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~北塔の方がより繊細なのが分かる~

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~四隅の骨太な控え壁~

まずは西正面。骨太な双塔を配した構造で、北塔は1293年の火災の後修復されたことから、南塔に比べ若干複雑な装飾を帯びている。とは言うものの、簡素な垂直線で区切られただけの造りは四隅に巨大な控え壁を従え、尖頭アーチの存在以外は、ロマネスク様式との印象を受ける。ちなみに当初は、頂上には尖塔を頂くプランであったが、尖塔が建設されることはなかった。西正面でもう一つ特徴的な点は、14世紀に入口の前に加えられたポーチの存在。横からみると大きく迫り出しているのが分かる。全体として質実剛健な造りだが、その簡素な美は、ゴシック初期の力強い息吹を感じさせてくれる。

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~身廊から内陣を眺める~

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~身廊のスクリーン、太い円柱と細い円柱が交互になっているのが分かる、本来六分ヴォールトに用いられる構造~

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~側廊から身廊を見る~

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~側廊、円柱の美しい配列~

さて、堂内に入ってみよう。オーソドックな3廊式で、壁面構成は、これも他の初期ゴシックと同様、アーケード、トリビューン、トリフォリウム、高窓層からなる四層構成となっている。まだまだ、古典ゴシックのような垂直性は有していないが、壁面を支える円柱は、遮られるものなく天井まですっと伸びており、10年後に建設が開始されたラン大聖堂のような、円柱を途中で分断するようなリングはなく、一層の上昇感を見るものに与える。天井は四分ヴォールトになっているが、円柱を良く見ると、太い柱と細い柱が交互になっているのが分かる。つまり、建築家は元々、六分ヴォールトによる天井を設計していた、ということなのだが、技術上の問題により、六分ヴォールトにより天井建設を断念したらしい。

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~半円形の翼廊~

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~南側翼廊を外から見る~

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~こちらは北側翼廊~

ノワイヨン大聖堂の最も特異な点は、翼廊が壁面ではなく、円形に閉じていること。これは初期ゴシックのみに見られる形態で、現存するのは、他にはノワイヨンの少し北にあるソワソン大聖堂位だと思う。 壁面でないので薔薇窓を配置することはできないが、身廊から続く壁面構成がそのまま分断されることなく、内陣へと引き継がれることになる。

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~内陣、アーケードや高窓層が未だロマネスク様式の円形アーチとなっている~

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~周歩廊から内陣を見上げる~

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~曲線が利用されたフライングバットレス~

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~外陣と参事会の図書館~

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~ステンドグラスは殆ど残っていない~

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~北側回廊~西正面双塔を見る~

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~無骨で大きいフライングバットレス~

内陣は身廊と同じ四層構成だが、身廊よりも建築時期が早いため、アーケードや高窓層では未だ円形アーチ構造となっている。これを周歩廊で取り囲み、古典のレヨナン式と同様、放射状祭室によって囲まれている。外から後陣を見てみると、未だ未だロマネスクの影響が残り、角の無い円形の輪郭のフライングバットレスが重みを支えている。

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~側廊礼拝堂の繊細な彫刻~

その他では、外陣南側にある、14~16世紀に付加された繊細な礼拝堂が美しい。

簡単に大聖堂の規模を記しておく。全長103m、天井高22.7m、西塔66mと、ゴシック大聖堂として中規模の大きさだ。ゴシック隆盛期のような洗練された美しさは無いが、ロマネスクからゴシックへと変化する時期の生き生きとした生命力のようなものは十分感じられる。特に西正面の重量感を持ちつつも、垂直と水平の分割が見事な双塔の美しさには感銘を受ける。 すぐ近くには同じような様式を持つソワソン大聖堂もある。また近い内にご紹介したい。

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プロフィール

クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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