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ポルトガル旅行(2)

旅の2日目は、スペインを一気に南西へポルトガル方面に500km程車を走らせ、目的地のパラドールへ向かう。これでもまだまだポルトガル国境へは遠い。ポルトガルは本当に欧州最果ての国だ。

スペイン中部に入ると、それまでの北部とは風景が全く異なってくる。北部は山も多く緑も豊かだが、段々と平地になり荒涼とした大地が広がってくる。「ピレネーを超えるとアフリカ」とは良く言ったもので、オリーブの木がところどころ見られる、乾いた景色がどこまでも続く中、道のみが走っている。そして、暑い。ドライブの旅と言えど、なかなかきつい道中だ。

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~荒涼とした大地に一本の道が続く~

ところで、今回、初めて長距離旅行でカーナビなるものを利用した。あまりに時代遅れかも知れないが、今までは地図と格闘しながらの旅で道に迷うこともしばしば、案内役の妻も今回は全く知らない国に行くことでもあり、ナビを放棄したので、仕方無くカーナビを利用せざるを得なくなった。だが、このカーナビ、日本でも同じかどうか分からないが、とんでもなくいい加減な代物だった。また、フランスで買ったためか、とてもフランス的で、本当に中にフランス人が入っているのではないかと何度も思わされた。いくつか例を挙げると―

・高速を走っているのに道を把握できず、ナビを見ると荒れ地や森を突っ走っていることになっている(尤もこれは単にデータがアップデートされていないだけだったのかも知れないが、ただ明らかに建設されて数年は経っていると思われる高速もあった)、
・高速から下ろして一般道を走らせるのだが、一般道が高速と並走しており、おかしいと思っていると、数十km走ってまた高速に戻らせたりするといった、嫌がらせとしか思えないナビをする、
・上記のようなことがあるので、地図を見ながら無視してそのまま今迄の道を走っていると、何度も何度も高速から降りUターンさせようとする、また、そうやって指示を無視した時に限って、間違って行くわけの無い横道が出てくる場合にはご丁寧に「(分岐を)左へ(あるいは右へ)」と言うくせに、高速の大きな分岐が出てきても、何も案内が無いので、地図を見てあせることもしばしば、
・とは言うものの、こちらもどちらの道で良いか自信が無い時はカーナビの通りに道を進めると、15分位も走った後、行き止まりにぶち当たり、方向転換させられる(その際、当然詫びの言葉は無し、むしろ、Uターンしている間、しつこい位何度も「右折して右折(つまり方向転換)」と、早くしろ、みたいに急き立てる)、
・到着予定時間が出るのだが、明らかにカーナビの提示する道だと遅くなるので、違う道を行くと、急に違う道での新たなルート設定をやめてしまう、おかしいと思い、何度も設定し直すと、しぶしぶ(としか思えない)新たなルート設定をし、大幅に短縮された到着予定時間がこれもしぶしぶ出てくる(誤りを決して認めないフランス人のよう)

― といった具合。決してフランス製ではないのだが、平気で間違う、決して間違いを認めず自分の間違いを押し通そうとする、(機械だから当然だが)間違いをあやまらない(訂正しない)、間違いを無視すると一転非協力的になる、なんだか日頃接しているフランス人と全く同じだな、と道に迷ったり到着が遅れたりと、大いに迷惑を被ったが、それでも妻と、これ絶対フランス人が中にいるぜ、などと言いながら結構面白い道中であった。

どうでもいいことを長々と書いてしまった。途中、一泊目の町から200km程のところにあるバリャドリッドという町に少しだけ立ち寄った。カスティーリャ・イ・レオン州の州都で人口30万人を超える大きな町だ。イザベル・ゴシック様式で有名な、聖パブロ教会と聖グレゴリオ神学校の正面彫刻を見るためである。イザベル・ゴシックとは、プラテレスコ様式と呼ばれる、スペインで独自に発展した、ゴシック末期からルネサンス初期に亘る過渡期の建築様式で、その中のさらに初期のものを指す。15世紀末から16世紀初め、当時のカスティーリャのイザベル女王とアラゴンのフェルナンド王の治世下に発展したこの建築様式は、女王の名前を取ってイザベル・ゴシック様式と言われるのだが、イスラム教の支配下時代に発展したムデハル様式にフランボワイアン・ゴシックが交じった独特の建築様式で、過剰装飾と呼ばれるフランボワイアンをさらに豊富に肉付けしたような浮彫が特徴となっている。
ご存じかとは思うが、イザベル女王とフェルナンド王は1469年に結婚、一つのスペイン王国としての形を整え(ただ、カスティーリャ、アラゴン両国はそれぞれ、そのまま存在していたが)、1492年のイスラム教徒からのグラナダ奪還に成功している。両王は熱心なカトリック信徒で、当時の教皇アレクサンドル6世から「カトリック王」という称号も与えられている。また、同じく1492年にはイザベル女王がコロンブスに新大陸への渡航許可を与え、アメリカ大陸の‘発見’につながるといった、スペイン盛隆の始まりの時期にも当り、同時期に建設された(上記2建築物も両王からの指示になるもの)建築物にもその勢いが感じられても不思議では無いと思う。

まずは聖パブロ教会。薔薇色の西正面にイザベル様式の浮彫が一面に施されている。フランスのフランボワインアン装飾より感覚的で豊満、いかにもスペインらしい建築様式だと思う。

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~西正面全景~

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~西正面拡大部分~

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~西正面扉口、浮彫彫刻で埋め尽くされている~

次に聖グレゴリオ神学校の正面浮彫。たかだか高さ20m程の入口だが、これを見るだけでも立ち寄る価値は十分にあったと思わせるものであった。

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~正面入口全景~

聖パブロ教会同様、これでもかと言う程の浮彫装飾が施されているのだが、決して過剰や派手などではなく、むしろ抑制された調和と洗練さを備えている。青空を背景に真っ白に映える装飾群はたとえようもなく美しかった。これが夜にライトアップされたらどんなに綺麗だろうと、是非見たかったのだが、ここから宿泊先迄さらに300km弱程、とてもゆっくりはできないので後ろ髪を引かれる思いでバリャドリッドを発つ。ここには今度またゆっくり訪れたいと思った。

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~正面入口上部、中央の見事な獅子と紋章の浮彫~

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~イザベル・ゴシック様式の複雑なフランボワイアン装飾~

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~右端の柱を見上げる、奇妙な人型の彫刻~

さて、カーナビに散々間違った道を教えられながら、ようやく夕方に2泊目のパラドールに到着した。スペイン南西にあるエストレマドゥーラ地方の北端にある小さな町、Jalandilla de la Villaのパラドールだ。この町、といっても村程度の大きさしかないが、地方北部の中心都市プラセンシアからさらに北にかけて広がる、今迄の風景とは打って変わって異なる山岳地帯を車で1時間程ぐねぐね曲がる山道を上ったところにある。本当にこんなところにパラドールなどあるのだろうか、と思いながら車を走らせていたのだが、近づくにつれ、ホテルがどんどん増えてくる。町の近くには清流が流れ、川遊びもできるようになっている。きっと程良い避暑地になっているのだろう。

町の中心部に見下ろすように建つパラドールは、15世紀のカルロス5世のお城をホテルに改装したものだ。立派な門構えで、期待して入口をくぐると、そこにはまさに中世の世界が広がっていた。2つの塔を両端に抱える建物が見渡せる異国情緒にあふれた中庭。広々としたサロンやテラス。階段には昔の絵画や家具などが置かれてある。長旅の疲れが一気に吹き飛ぶようだった。また、裏庭にはプールまで併設されている。退屈していた子供達は大喜びで遊んでいた。

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~パラドール入口~

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~入口の後ろに広がる中庭。2階部分がサロン~

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~サロン~

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~テラス、勿論、サロン共にゆっくり読書などできる。誰もいない贅沢な時間~

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~裏庭、この裏手にプールが併設されている~

そして夕食、いつもはバルに行くのだが、ここは中庭がレストランになっており、この雰囲気の中で食事がしたかったのと、外なので、子供が多少騒いでも大丈夫だろうと、レストランで食事をすることにした。夕闇が降りてくると建物がライトアップされ、素晴らしい雰囲気になる。

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~ライトアップされた中庭、奥がレストランになっている~

これだけでも中庭で食事をした甲斐があったと思われるのだが、メインで頼んだイベリコ豚のステーキは本当に絶品だった。イベリコ豚は生ハムでは有名だが、ステーキでは食べたことが無かったので注文したのだが、正直、こんなに美味しい豚肉は食べたことが無い。上質のサーロイン牛のような柔らかいジューシーな食感の中にも、牛タンのような歯ごたえのある、とても豚肉を食べているとは思えない味だった。味付けは粗塩のみなのだが、肉の旨みだけで十分に楽しめた。

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~イベリコ豚のステーキ、あまりに美味しく、写真を撮るのを忘れ半分位食べてしまった~

パラドールはもっと規模の大きな、建築的にも有名なものが沢山あるが(帰りに泊ったレオンのパラドールなど)、今日泊ったパラドールこそ、中世の雰囲気にそのまま浸ることのできる、まさしくパラドールと呼ぶに相応しいホテルなのでは、と思ってしまった。

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クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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