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ポルトガル旅行(5)

バターリャには修道院をじっくり見るため3日間滞在した。今回の旅行は、主にポルトガルのゴシック建築を訪ねることが目的なので、子供達はつまらないことこの上ない。で、2日目に、バターリャから車で少し西にったところにある、ナザレという海水浴場に行ってきた。

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~ナザレの海岸~

ただ、ここは大西洋、ご存じの方も多いと思うが、大西洋の海水は冷たく、泳ぐのには適さない。ここナザレもきっと水は冷たいんだろうな、と思いながら来てみたが、期待(?)にそぐわず、物凄く冷たかった。しかも波が荒い。とても子供が騒ぎながら海水浴を楽しめるなどという浜辺では無かった。波打ち際で子供と一緒に足を海水に浸けてみるが、冷たいのなんの、2、3度波を浴びただけで、冬の井戸水にでも浸かるように、足が痛くなってくる。泳ぐことは諦め、砂浜で少し遊ばせて帰ることにした。帰る前に、町でお昼を食べて行くことに。ポルトガルは日本と同じく魚が非常に豊富で、いわしの塩焼きなどとても美味しいと聞いていたので、素朴な海の食材にありつけることも期待していた。いかにも海辺の鄙びた町と言う感じで、細い路地が入り組んでいる。驚いたのは、住民達が軒先に七輪を出し、魚を焼いていることだ。日本と似ているなあ、と懐かしい気分になった。

レストランはガイドブックに乗っていた魚料理が安くて新鮮だというところにした。主人が日本語のメニューもあるぞ、と持ってくる。誰かが訳して上げたのだろうが、こんな西の果てまで、日本人は本当に凄いと思った。何の気無しに選んだレストランだったが、大正解だった。魚が新鮮で安く、しかも美味しい。食べたのはいわしとイカと、(恐らく)タイ。どれも塩焼きなのだが、焼き加減も味も絶品だった。極めつけは最後に頼んだ海の幸のリゾット。これは最高だった。大きな土鍋に優に二人前をあろうかという量がどっさりも盛られてある(勿論、一人前)。中には魚、貝、海老が豊富に入っており、ダシも十分に出ていた。家族全員大満腹、大満足で代金は飲み物込みで確か4、50ユーロ程だった(ちなみにリゾットは10ユーロ程だった)。ポルトガルはどこに行っても食事でがっかりさせられることは無い。

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~海の幸のリゾット、これで一人前~

翌日には、バターリャから東に60km程行ったところにある、トマールという町の修道院に行ってきた。ここはテンプル騎士団の本拠地であったところで、ユネスコの世界遺産にも登録されている重要な宗教建築物だ。テンプル騎士団というのは、十字軍の盛隆と共に発展した団体で、騎士団とは言いながら、修道士の一派で、聖地巡礼を行う信者の警護にあたる、武装した修道士を指す。一時は教皇からも認められ、ヨーロッパ全土に発展していったが、その財力などから段々と疎ましがれるようになり、ついには解散を命じられ、中心人物は死刑に処されたという悲しい結末を持つ宗教団体だ。

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~トマール修道院全景~

トマール修道院の歴史は古く、12 世紀後半から16世紀に亘り建設され、よって、ロマネスク、ゴシック、そしてマヌエル様式といった様々な建築様式を見ることができる。非常に大規模な修道院で、いくつもの回廊を有する。それぞれが異なった建築様式で、アズレージョと呼ばれる青が美しいタイルが一面に嵌め込まれた回廊もあれば、マヌエル様式の装飾が施されたもの、ルネサンス様式のもの、と数世紀に亘る建築様式の変遷を見ることができる。

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~アズレージョの装飾が美しい回廊~

中でも、何と言っても特筆すべきは円形礼拝堂で、その美しさは、同じ形態の礼拝堂では、キリスト教界随一だと思う。

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入口外から円形礼拝堂を眺める~

礼拝堂の中心に中が空洞となる円柱が立ち、その周りを円形廊下が取り囲む。まず驚かされるのはその豊かな色彩だ。石柱や廊下、天井といった全ての壁面やそこに置かれた彫刻群が、金、銀、緑、赤、黄等の豊かな色彩で極彩色に満たされている。システィナ礼拝堂のポルトガル版といったところ。ただ、けばけばしさは無く、中世の神秘的な雰囲気に満ちている。陽の光が当たると黄金色に燃え立ち、影となるところでは緑や赤や青が宝石のように暗く深い輝きを放つ。

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~円形礼拝堂(1)~

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~円形礼拝堂(2)~

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~円形礼拝堂(3)~

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~円形礼拝堂(4)~

トマール修道院のもう一つの大きな見どころは、マヌエル様式の装飾が施された大窓だ。マヌエル様式とは珊瑚やロープ等海をモチーフにした装飾が特徴であることは以前説明した通りだが、ここの大窓を見るとマヌエル様式の特徴がはっきりと見て取れる。また苔生しているところも、海底を思わせ、海の国の建築様式なのだということを実感させてくれる。

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~マヌエル様式の傑作である大窓~

こんな大規模な修道院を建てる費用は一体どこから捻出したのだろうという疑問が湧くが、ここを本拠地としたテンプル騎士団は、入会者からの寄進された資産、王侯、貴族達から委託された財産を管理・運営し、一大財産を作ったことでも有名で、修道院建設のための経済的基盤は十分にあったようだ。彼らの資産運用は当時では例の無いもので、預かった資産で土地を購入、ブドウ園等を運営したり、フランス王に対する財政支援等も行ったりしたことから、国際金融機関の始まり等とも言われている。尤も、このように、修道院という宗教団体でありながら、国にさえ資金援助できるほどの経済力を持ってしまったことが仇となり、当時テンプル騎士団から莫大な借金を抱えていたフランスのフィリップ4世の策略により、異端の烙印を押されることとなり、1314年、最高指導者達が火あぶりで処刑され、活動禁止に追いやられてしまったのだ。蛇足だが、フィリップ4 世がテンプル騎士団の会員を一斉に逮捕したのが13日の金曜日であったことから、キリスト教で不吉とされる「13日の金曜日」という考えが生まれたらしい。明るい青空の下、美しい修道院を眺めていると、そんな血生臭い過去を想像することは難しいのであるが。

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~回廊屋上より、マヌエル様式の外観と円形礼拝堂を眺める~

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プロフィール

クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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