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トロワ大聖堂

トロワの町はパリの南東約150kmのところにあるオーブ県の県庁所在地で、シャンパーニュ生産圏であるシャンパーニュ・アルデンヌ地域の南端に位置する。また、昔から繊維業が発展し、今でも数多くの繊維関連企業が多くあるとことでも有名だ(アウトレットのショッピングモールなんかがあり、結構パリから安価なブランド物目当てに買出しに行く人も多い)。歴史は古く、ローマ時代にまで遡り、その後地域の宗教上の中心地として栄え、ポルトガル旅行のところでご紹介した、テンプル騎士団の創設が決定されたのも、ここトロワにおいてである。欧州のキリスト教の歴史は至るところでこうして結びついている。旧市街には木組みの古い家々が数多く残っており、観光名所としても有名な町だ。ちなみにトロワという名前は、発音は数字の3と同じだが、綴りはTroyesと書き、ローマ時代以前にこの地に住んでいたトリカッス族に由来する。

ここにもなかなか素晴らしいゴシックの大聖堂がある。略10年振り位になるが久しぶりに訪れてみた。着いてまずがっかりしたのが、修復工事のため西正面全体が覆いで隠されていたこと。

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~西正面、このように覆いのため全く見えない~

シャルトル大聖堂のところでもお話したが、こちらの大聖堂は頻繁に修復工事が行われ、その間はこうやって覆いが被せられ、美しい姿を目にすることができなくなる。そして殆どが最低でも2~3年に亘って工事が行われることから、私のように写真を撮るのが楽しみでいくと、本当にがっかりさせられてしまうのだ。特にトロワ大聖堂の西正面は、フランボワイアン様式の傑作の一つに数えられ、繊細な浮彫彫刻が大変美しいだけに、とても残念な気分になる。そうは言っても、折角来たことだし、トロワ大聖堂は外観よりも内部のステンドグラスで有名なので、ゆっくり見学していくことにする。

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~大聖堂後部、放射状礼拝堂が美しい~

その前にトロワ大聖堂について少しご説明したい。元々ロマネスク様式の大聖堂が存在していたが、1188年に火事で消失、現在あるゴシック様式での建設が1208年に開始された。シャルトルもランスも同じだが、殆どのゴシック大聖堂は火事で消失した旧建築の建て替えとして建設されている。どこの司教座聖堂が新しい建築様式で建て替えられていく中、「うちの大聖堂もより素晴らしいものに」とか思って故意に燃やしてしまったのではないか、と思うのだが。何故この時期に、しかも旧建築様式の大聖堂が相次ぎ火災に遭うのか、偶然にしては多すぎると思う。ただ、神への信仰のためには手段は問われなかった時代、「神がより立派な新しいお住まいを欲しておられる」とか、自分に言い聞かせていたのではないだろうか。

DSC05395.jpg
~外陣、壁面がステンドグラス化しているのが分かる~

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~内陣を見る、中間層のトリビューンにもステンドグラスが嵌め込まれている~

それはさて置き、着工時には既にゴシック様式が各地に誕生しつつあり、初期の頃のものと比べると変遷が良く分かる。最も特徴的なのは内部壁面の処理。写真を見ていただければお分かりになるかと思うが、ランは勿論、シャルトルと比べ、壁面を満たすステンドグラスの比率が明らかに増しており、壁面がステンドグラス化している、と言っても良いほどだ。しかも、13世紀以降の中世のものがかなり残されており、赤や青の深い色合いが堂内を満たしてくれる。

DSC05413.jpg~内陣上部のステンドグラス~

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~同中央窓拡大部分~

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~同じく、内陣のステンドグラス(1)、壁面のステンドグラス化が良く分かる~

DSC05426.jpg~内陣のステンドグラス(2)

ただ、素晴らしい大聖堂であることに変わりはないものの、シャルトルやランス、ストラスブール大聖堂等の堂内で受けるような感動は正直無い。寧ろ、先般ご紹介したヴァンドームの教会堂や、その他、フランボワイアン様式の小規模聖堂の方がより深い感動を味わえる。大聖堂も芸術品(キリスト教徒でない私にとっては、宗教施設ではなく、あくまで芸術作品だ)であるならば、規模の大小に拘らず、独創性・創造性、あるいは存在感などが無いと、見る人にも深い感動を与えることはできないのであろう。

DSC05451.jpg
~放射礼拝堂にも素晴らしいステンドグラスが多く嵌め込まれている~

DSC05455.jpg~中央放射礼拝堂~

DSC05459.jpg~右横の礼拝堂のもの~

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~エッサイの樹のステンドグラス、なんとなく深みが無いのが分かるだろうか、これは近世の作品~

いつもの如く、トロワ大聖堂の大きさを以下に記しておく。全長114m、天井高29.5m。ここもブールジュやルマン、トレド等と同じく、5廊式を採用しており、翼廊の幅は50mある。ゴシック大聖堂としては中規模の大きさだ。元々交差部には110mにも及ぶ尖塔が聳えていたのだが、落雷により消失、その後再建させず今日に至っている。

DSC05492.jpg
~翼廊南薔薇窓~

DSC05494.jpg~近世の作品にも美しいものがある~

最後に、ここトロワにはもう一つ、小規模ながら重要なゴシックの教会堂がある。聖ユルバン聖堂で、ここの壁面は略全てステンドグラス化している。ゴシックの特徴である壁面の光化がどんどん進むとこのようになる、という例だが、どうお感じだろうか。私にはここまでステンドグラス化してしまうと、なんとなく神の家の中に居る、という神秘的な気分が減ずるように感じるのだが。

DSC05526.jpg
~聖ユルバン聖堂~

DSC05518.jpg
~ステンドグラス化した壁面~


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プロフィール

クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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