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ミラノ大聖堂(イタリア)

クリスマス前の一週間、冬休みを取得してイタリアに行ってきた。目的は家族には悪いが、今回もゴシック建築巡り。

DSC06907.jpg~後方より朝日を浴びるミラノ大聖堂~

ところで、イタリアに行くのはシチリア島を除いて実に約15年振り。決して魅力がないわけではないのだが、見たいゴシックのある国・都市から順番に回っていった結果、イタリアには全く行っていないという結果になった。つまり、私にとって、見てみたいゴシックの大聖堂がイタリアにはあまりなかったというわけだ。

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~トスカーナの夕暮れ~

今回、過去に見たもの(ミラノやフィレンツェ)も含め、主要なゴシック大聖堂を見てきたが、やはり事前に想像していた通りだった。それぞれが素晴らしい建築物で、むしろフランスや他の国の主要なゴシック大聖堂よりも美しいと感じるものもあるのだが、どう見ても、イタリアのゴシック建築は、フランスを中心に広がったゴシック建築の定義からすれば、とても同じ建築様式とは呼べないものだと改めて実感した。これから順番に一つずつご紹介していこうと思うが、見ていただければ私の言っていることがお分かり頂けると思う。むしろ、ロマネスク様式(これもフランスのロマネスクとはかなり趣きを異にするが)のピサ大聖堂(あの斜塔で有名なピサ)が今回の旅行で一番感銘を受けた。これは、個人的には、間違いなくイタリアで最も美しい教会堂で、シャルトル大聖堂にも匹敵するものだと思う。

勿論、大聖堂見学以外にも楽しみは沢山あったわけで、予想に違わず、イタリア料理は本当に安くて美味しかった。薄くてパリっとしたピザ、アルデンテに仕上がった、なんでもないソースが絶品のパスタ、フランスでは絶対に食べられない味が、その辺の大衆食堂のようなところで当たり前に食べられる。トスカーナの起伏に富んだ美しい風景、本当に素晴らしかった。今度はもう少し暖かい時期に改めてゆっくり訪れたいと思った。

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~シエナ・プッブリコ宮の塔から見たトスカーナ平野~

まず初日は北イタリアのミラノ。いつもの如く、パリから車で向かう。800kmちょっとの道程、例年スペインやポルトガルに車で行っていたので、この程度の距離はなんとも思わなくなってしまった。恐ろしい...。スイスを横目に見てアルプスを越えてイタリアに入るのだが、ジュラ山脈に差し掛かった辺りから、かなり激しい雪が降り出した。高速道路を走っていたし、まだ降り始めだったので、道に雪が積もっているわけではなかったが、昨年のピレネーでの雪難を思い出し、かなり恐々車を運転していた。そうこうしている内に有名なモンブラントンネルに着いた。70kmの速度制限で、12、3分程走り、トンネルを出ればそこはもうイタリア。意外に早くイタリアに入ることができた。それにしてもモンブラントンネルの通行料は馬鹿高かった。確か乗用車で片道37ユーロ位だった。イタリアに入ると3km位のトンネルが続けざまにいくつもあったが、全てタダ。ちょっとぼったくりのような気がした。あと、イタリアは高速道路料金とガソリンがものすごく高い。フランスも結構高いと思うのだが、それと比べても両方共2割方高かった。都市の中心部の駐車場もしかり。パリよりも高い感じだった。あまり車で旅行はするな、ということなのだろうか。とは言うものの、イタリアに入ると天気も良く、ミラノに向かう高速道路から車の遥か左側にはアルプスの山並みが見え、勿論疲れたものの、快適なドライブだった。

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~夕暮れ直後の大聖堂~

路面電車が至るところで走り、車が通って良いのかどうか良く分からないミラノの中心部をビクビクしながら走らせ、ホテルに着いたのはもう日が暮れるかという時刻であった。荷物を降ろし、早速大聖堂を見に出かける。

ミラノ大聖堂はイタリア最大のゴシック建築であるばかりでなく、世界最大のゴシック建築だ(尤も、先程述べたように、これがゴシックなのかという議論もあるだろうし、また、ケルンなどと同様、完成したのが19世紀で、中世に完成していない大聖堂を同列に比べることに意味があるのか、という見方もあるだろうが)。全長158m、天井高45m(未完のボーヴェーよりは低いが、なんとアミアンよりも3m高い)、翼廊の幅93m、堂内の床面積に至ってはなんと11,700㎡(アミアンは7000㎡)。途方もない大きさだ。ちなみに、キリスト教建築全ての中でも、ヴァチカンの聖ピエトロ大聖堂、ロンドンの聖ポール寺院に次いで3番目の大きさだ。近くから見るとその巨大さには本当に圧倒される。着工は1386年、当時盛隆を極めたミラノ公国のヴィスコンティ公の命により、イタリアのキリスト教界の中心とすべく、建設が開始される。当時北ヨーロッパで主流となっていた(フランスでは円熟期に入っていたが)ゴシック様式とすべく、フランス、ドイツから建築家が招聘されるが、地場の様式に固執する地元の建築家達の反目にあり、建設は遅々として進まず、幾度にも亘る変更を余儀なくされる。数多くの建築家が建設に携わり、5世紀にも及ぶ建設期間の後、1813年にようやく完成する。結果、今ある姿のようなゴシック様式とは言いながら、非常に独特な外観となったわけだ。

DSC06834.jpg~西正面~

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~斜め前から見上げる、圧倒的なスケール~

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~夕陽を浴びる尖塔群~

DSC06909.jpg~こちらは朝日を浴びる様~

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~西正面中央扉駆口のブロンズの彫刻~

まず西正面から見ていこう。私が先に言ったことがお分かり頂けると思うが、今まで見てきたゴシックの大聖堂の西正面と全く趣きが違う。南北に両塔を抱く一般的なゴシック大聖堂と異なり、家の屋根のように、端(側廊)から中心(身廊)にかけて高くなっている。そしていくつもの小尖塔は(西正面に限らず)多数あるものの、南北両塔のような巨大な塔は存在しない。また、薔薇窓もなく、小振りな窓がいくつか穿たれているばかりだ。入口はあるが、フランスの大聖堂のように、タンパンに彫刻を施した巨大な扉口や切妻彫刻もない。その代わり、多数の小さな人物彫刻が至るところに存置されている。2つの側廊と身廊を分けるところに、控え壁が頂に小尖塔を載せる形で垂直に伸び、全体として非常に統一された外観を持っている。装飾・彫刻も多数配置されているが、西正面自体のスケールが非常に大きいので、過度にならず、すっきりしている。石材としてして用いられている薄紅色の大理石の美しさもあり、整然とした出で立ち。フランスのゴシック大聖堂のような生き生きとした躍動感のある迫力や、天を目指すような上昇感はないが、純粋にただただ美しい、本当に美しい西正面だ。

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~堂内、身廊から内陣方向を見る、アーケードに配置された巨大な絵画が広大な空間を認識するのを妨げている~

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~翼廊~

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~側廊から身廊を眺める、ここからだと堂内空間の巨大さが若干伝わると思う~

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~内陣~

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内陣の大窓~

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~薄暗い側廊に内陣大窓から朝日が差し込む~

堂内は5廊式でその高さ、幅から本当に広いのだが、身廊と側廊の間のアーケードに巨大な絵がいくつも飾られ、完全に空間を遮断しているので、本来の広大な空間を実感することができない。説明を読むと、毎年11月にこれらの絵が飾られる、とある。16世紀のミラノ大司教だったカルロ・ボッロメーオ(後に聖人にまつられ、聖カルロとなる)の生涯を描いた、なんと55枚にも及ぶ一連の巨大な絵画なのだが、折角の大聖堂をじっくり見るのを邪魔してるからか、私には何の感慨も沸かない変哲もない絵で、こんなのを飾るのは本当にやめて欲しいと思った。天井高が45mもあり、また、大聖堂の規模からすると窓もあまり大きくないので、上の方は霞がかかったように見える。ステンドグラスは比較的新しいものばかりだが、内陣の周歩廊に嵌め込まれた巨大なステンドグラスは圧巻だ。

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~側廊屋根からフライングバットレスの列を見る~

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~身廊屋根、中央尖塔の覆いが本当に残念~

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~幾何学模様のようなバットレスの配列~

内部を見た後は屋根に登ってみよう。エレベーターか階段で屋根に登ることができる。側廊屋根に立つと、数え切れない程の大小様々な小尖塔が至るところに聳えているのが良く分かる。フライングバットレスの傾斜部分には針のような装飾としての非常に小さな小尖塔が、また、先端には槍のような小尖塔が聳える。これらがそれぞれのバットレスに全て同じように備え付けられ、視界の向こうへ規則正しく並ぶ様は本当に美しい。幾何学模様のレース織りを見ているようだ。そして身廊の上の最も高い部分の屋根へ。ここからは晴れていればアルプスの山並みが見える。非常に生憎だが、中央部分の採光塔が修復で覆いが被されており、その周辺も足場が組まれていた。全くもって残念。本当にどこに行ってもゴシックの大聖堂はどこかが修復している。

DSC06860.jpg~大聖堂前広場から見たクリスマツツリーと大聖堂~

DSC06669.jpg~ライトアップされた西正面~

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~西正面を見上げたところ~

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~左斜め前から、迫力がある~

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~こちらは右斜め前から見上げた西正面~

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~中央交差部、修復の覆いが本当に残念~

ライトアップされた夜景の大聖堂も一際美しい。特にクリスマスのシーズンであったので、大聖堂前広場には大きな樅の木が置かれ、小さな無数の電飾に飾られた巨大なクリスマスツリーとの競演も見事だ。薄紅色の壁面が白の照明で照らされると、柔らかい乳白色を帯び、フランスの大聖堂の夜景のような、荘厳だが冷たい雰囲気とは異なる、暖かい印象を演出する。繊細な無数の小尖塔が漆黒の闇に浮かび上がり、まるで大きな輝く宝石箱のよう。そして、堂内から光が灯され、側廊のステンドグラスが照らし出される。

DSC06884.jpg~堂内からライトアップされた大聖堂側面~

DSC06650.jpg~ライトアップされた左側面~

DSC06893.jpg~ライトアップされた後陣、美しいというよりかっこいい~

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~SF映画に出てくる宇宙船のよう、修復中の覆いが丁度建造中のように見える~

後部はより一層繊細で、ライトアップされた姿はまるでSF映画の建築物でも見ているかのようだ。ところで、今回は、大聖堂を真正面から良く見たいとの思いから、ちょっと高かったのだが、大聖堂前広場に面したアパートメントホテルに泊まった。このホテルが大正解で、部屋も広くて居心地が良く、3階だったので、本当に何にも邪魔されず、飽きるまでライトアップされた大聖堂を眺めることができた。

DSC06858.jpg~ホテルの窓から見た大聖堂夜景~

DSC06903.jpg~夜明け前の大聖堂、同じくホテルの窓から。時が静止したようで本当に綺麗だった~

ミラノ大聖堂はフランスを始めとする他の国のゴシック大聖堂とは大きく異なるが、それでも、イタリアの他のゴシック大聖堂に比べると、まだ一番、ゴシック的だと思う。尖頭アーチ、大きな窓、交差ヴォールト、フライングバットレス、主なゴシック建築の特徴は大体全て備えている。ところが、今後、訪れた順に他のゴシック大聖堂をご紹介していきたいと思うが、そういった、そもそもの特徴すら備えていない大聖堂ばかりなのだ。どれを見ても、「これのどこがゴシック建築なんだろう?」というものばかりだと思う。一体、何故、建築史上、美術史上、ゴシック様式に分類されているのか、良く分からないものばかりだった。これからご紹介しながら、改めて自分でも思い返してみたいと思う。

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Re: はじめまして!

みき様、コメント有難うございます。ゴシック大聖堂、本当に素晴らしいですよ。イタリア旅行をご計画とのこと、是非お勧め致します。これからまたご紹介させて頂きますが、他にも素晴らしい大聖堂が沢山あります。写真はどうぞご自由にお使い下さい。Facebookは残念ながらやっておりませんが、何かご質問などありましたら、こちらのコメント欄に何なりとお送り下さい。またお暇な時にでもお読み頂ければ幸いです。

ありがとうございます♪

お返事ありがとうございます!
写真ありがとうございますっ!!
これからも読ませていただきます!!(o^^o)
とりあえず、全部読んで勉強させていただきます!!
プロフィール

クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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