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オルヴィエート大聖堂(イタリア、ウンブリア)

シエナから高速道路をさらに南下、トスカーナからウンブリア州に入り、1時間程も走ると、右手の小高い丘の上に、中世都市が見えてくる。オルヴィエートの町だ。ここからローマは南にあとわずか100km程。随分南にやってきたなあ。

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~オルヴィエート大聖堂西正面~

中部イタリアには、シエナもそうだが、丘の上にある町が多い。中世の時代には国家間というよりは都市間で勢力を争っていたことから、外敵から守るため、丘の上に都市を形成することが多かったのだろうか。ここオルヴィエートも同様で、車で行っても麓から都市中心部に行くには結構坂道を上っていかなければならない。紀元前迄歴史を遡ることのできるこの町は14世紀頃、シエナのライバルとして最も栄え、ローマ教皇もローマにいない時にはしばしばオルヴィエートに滞在したらしい。

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~西正面を真ん前から見る~

そういったことから、ここにもイタリアを代表するゴシック大聖堂が存在する。シエナと同じく聖母被昇天と名の付くオルヴィエート大聖堂は外観もシエナ大聖堂に非常に似ている。それもそのはず、シエナ大聖堂西正面上部を設計したジョヴァンニ・ディ・セッコなる建築家はオルヴィエート大聖堂の西正面に着想を得てシエナ大聖堂を建設したということだ。着工は1290年、当初はロマネスク様式で建設が開始されたが、後にゴシック様式に変更される。西正面が完成するのが1590年、3世紀にも及ぶ長い年月をかけてゆっくりと建設された。

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~右斜めから仰ぎ見たところ~

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~側面、非常に窓が小さい、壁に埋め込まれたバットレスが見て取れる~

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~西正面上部~

シエナとまるで姉妹のような西正面は、シエナに勝るとも劣らない位華麗だ。装飾が過多になっておらず、シエナより垂直性が強調され、よりゴシックらしいオルヴィエート大聖堂の方が個人的には好きだ。上下に2分割されているところはシエナと同様だが、モザイク画の占める割合が圧倒的に大きい。それぞれが金色を背景としているだけに、陽が当たると本当に黄金のように輝く。装飾よりも色彩の鮮やかさ、これがシエナとオルヴィエートを分かつ点だろう。

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~モザイクが鮮やか~

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~暗い路地から光輝く西正面が浮かび上がる~

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~西正面が夕陽を浴びると~

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~全体が黄金色に輝く~

DSC07336.jpg~モザイク画も黄金色に染められる~

DSC07338.jpg~鮮やか、の一言~

異なる点はもう一つ。先程も言った垂直性だ。中心部と左右の入口の上部、そして上層のそれぞれの上部にも尖頭切妻が置かれ、また、中心と左右を分ける部分と両端にはここでも色彩のアクセントが見事な色大理石の小尖塔がすっと上方に伸びる。白、薄紅、暗緑の大理石が交互に連なり縦に伸びていく様はゴシックの垂直性を引き立てる。下部のレリーフ彫刻も実に繊細で見事だ。

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~色大理石の微妙な色彩のアクセントが見事~

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~垂直性を重視した控え壁~

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~縦の線が上昇感を強調する~

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~上部迄遮るものなく伸びる尖塔~

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~レリーフとモザイク画のコントラスト~

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~四福音書家の象徴としての鷲と牛~

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~繊細なレリーフ~

ただ、悲しいかな、ここでも西正面は大聖堂全体の中で生きているのではなく、あくまで西正面としてのみ、後ろに続く本堂からは関係なく存在している。やや斜め後方から見るとまるで看板でも貼り付けたかのよう。シエナ大聖堂同様、西正面は平面的な存在でしかない。

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~本堂と構造上全く関連の無い西正面が見て取れる、書割のよう~

内部は完全なロマネスク。アーケードは円形、側面の窓も非常に小さく壁面が大部分を占めている。天井に至っては、リブヴォールトでないどころか、円形天井ですらなく、木の梁が渡されている。身廊部分には通常は置かれている椅子が全く置かれておらず、がらんとした感じ。天井高25m、全長92m、規模はシエナ大聖堂と略同じだ。

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~平面構成の内陣~

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~南翼廊から中央交差部を見る~

なんとなく素っ気無い印象を受ける堂内だが、翼廊から内陣にかけては全く趣きを変える。そこは絢爛なゴシック様式となっており、パヴィア修道院と同様、尖頭アーチのヴォールト天井は緑青色の色彩が施されている。そして壁面を覆うフレスコ画の数々。内陣は円形ではなく、平面に閉じられ、縦長の大きなステンドグラスが嵌め込まれている。

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~中央交差部~

そして南北翼廊部分にある礼拝堂は壁面・天井一面がフレスコ画で満たされているが、特筆すべきは、聖ブリツォ礼拝堂と呼ばれる南翼廊の礼拝堂。ここにはルカ・シニョレッリの手になる、黙示録を主題としたフレスコ画が一面に描かれているが、これはシエナ大聖堂のピッコロミーニ図書館にも匹敵する素晴らしさだ。神々、悪魔、人々が、鮮やかな色彩で、かつ明るいトーンで描かれているので、主題の重々しさにも拘らず、例えばアルビ大聖堂のフレスコ画のようなゴシック絵画の重苦しさはない。そこにあるのは人間への賛歌、まるで地獄に落ちた人々までもが祝福されているかのように美しく、写実的に描かれている。悪魔達も実に表情豊かで、まるで人間のよう。女性にまとわり付く悪魔は、地獄に引きずり込むのではなく、我が物にしようと躍起になっているように見える。
ただただ残念なのが、ここでも堂内の写真撮影が禁止されていたこと。パヴィア同様、見物客が少ない上に、見回りしている人が多い(3、4人はいたと思う)ことから、とても写真など取れる雰囲気では無い。受付の人に、50ユーロもする本を買って営業協力した上で、(大袈裟に)わざわざこの大聖堂を見るために日本から来たのだが、なんとか1枚だけでもいいから写真を取らせてくれないか、とお願いしたのだが、ダメ、の一言だった。というわけでコンパクトデジカメでこそっと少しだけ取れた写真を以下に添付しておく。実際の美しさが伝わらないのは本当に残念。

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~聖ブリツォ礼拝堂(1)~

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~聖ブリツォ礼拝堂(2)~

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~聖ブリツォ礼拝堂(3)~

P1030634(1).jpg
~拡大部分、どう見ても、悪魔が女性に言い寄っているように見える、鮮やかな写真でお見せできないのが残念~

夜のライトアップもシエナ同様、鮮やかなはずの西正面がモノトーンとなってしまい、左程素晴らしいものではなかった。

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~夕闇迫る大聖堂~

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~ライトアップ(1)~

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~ライトアップ(2)~

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~ライトアップ(3)~

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~ライトアップ(4)~

あと、ここオルヴィエートは白ワインの産地としても有名。夜、何気なく入ったレストランで頼んだ白ワインは、とっても安いにも拘らず(翌日ワイン屋で同じワインを探して買ったら9.5ユーロだった)果実味豊かでかつコクがあり、とても美味しかった。


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プロフィール

クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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