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トゥールーズの教会堂群

ようやく、スペイン旅行の続き。最初は往路一泊したトゥールーズから。トゥールーズは言わずと知れた南仏最大の都市の一つで、近郊を含めると人口100万人を超えるフランス第五の都市だ。町の殆どの建築物がレンガで建てられていることから、「薔薇色の町」としても知られ、特に夕陽を浴びて町全体が真っ赤に燃え上がる様は大変美しい。

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~薔薇の町のシンボル、聖セルナン聖堂~

トゥールーズは中世の頃にはフランス南部一帯を治めるトゥールーズ王国として隆盛を極め、また、アルルを起点とする「サン・ジルの道」と呼ばれる、サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路の一つの一大中継点として栄えたことから、数多くの巡礼者を収容できる教会堂の建設が渇望されたのは必然だった。このため、町なかには数多くの素晴らしい教会堂が存在する。

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~聖セルナン聖堂全景~

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~交差部尖塔を見上げる~

中でも最も有名なものが、ロマネスク建築中、最大規模を誇る聖セルナン聖堂だ。聖セルナンは250年に殉教したトゥールーズの初代司教で、聖セルナンの聖遺物を祭るための最初の教会堂が町の郊外に建設された。その後、同聖遺物を目当てに巡礼に訪れる信者が後を絶たず、現在の聖堂がある地に、より規模の大きな聖堂を建設することが11世紀後半に決定された。1080年に建設が開始、1096年には当時の教皇ウルバヌスII世により献堂されたが、大聖堂の大部分の建設が完了するのは12世紀の終わりであった。

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~身廊~

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~身廊アーケードはかなり高い~

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~中央採光塔を見上げる~

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~石柱の粗い石肌が簡素で美しい~

聖セルナン聖堂は、先程も述べたように、ロマネスク建築として桁外れに巨大で、全長115m、天井高21m、また、ロマネスク様式では非常に珍しい5廊式の身廊を有する。交差部の尖塔の高さは65mにも及ぶ。内部はロマネスク様式のため窓が小さくゴシックに比べ薄暗いが、粗い削りが剥き出しの薄紅石の柱が、明るい色合いを添える。また、内陣のフレスコ画も色彩豊かで大変素晴らしく、窓に嵌め込まれたステンドグラスは簡素な構図・色彩ながらとても美しい。

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~内陣のフレスコ画(1)~

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~内陣のフレスコ画(2)~

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~ステンドグラス(1)~

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~ステンドグラス(2)~

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~ステンドグラス(3)~

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~ステンドグラス(4)~

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~ステンドグラス(5)~

町の他の建築物と同様、煉瓦でできているが、聖セルナン聖堂は、無骨な外観のアルビ大聖堂と違い、簡素ながらも、中央尖塔がすっと空に伸びる様はとても美しい。

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~外陣から中央尖塔を見上げる~

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~ライトアップ(1)~

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~ライトアップ(2)~

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~ライトアップ(3)~

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~ライトアップ(4)~

ライトアップされた姿もまた格別で、紅色の白鳥が羽を広げ体を休めているかのように見える。

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~ジャコバン聖堂全景、2廊式聖堂であることが外観からも分かる~

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~フライングバットレスが無いため窓と窓との間の控え壁が分厚い~

これだけでもトゥールーズを訪れる価値は十分にあるのだが、先にも述べたように、この町にはまだ見るべき教会建築が沢山ある。特に、個人的には、聖セルナン聖堂より素晴らしいのみならず、南仏全体でも最も個性的なゴシック建築だと思っているのが、次にご紹介する、ジャコバン聖堂だ。これは、いわゆる南方ゴシックと呼ばれる形態を持つ教会堂群の一例で、非常にユニークな内部構造をしている。

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~堂内、二重身廊方式の構造~

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~内陣部分~

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~天井を見上げる、全く同じ2廊式なのが分かる~

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~細い円柱が上昇感を強調する~

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~Palmierと呼ばれる放射状に展開するリブヴォールト~

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~中央で堂内を分割する円柱~

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~Palmierの拡大部分~

南方ゴシックとは、フランス南西部とバルセロナを中心とするスペイン北東部、あるいはポルトガルのバターリャなどに見られる建築様式で、中央廊に対し、側廊天井が非常に高く設定され、上昇感を強調した構造になっている様式のものを言う。ジャコバン聖堂は、これの極端な、あるいはさらに洗練された例と言っても良く、天井の高さ、幅が同じ2つの身廊が並列して存在し、中央に円柱の列が規則正しく配置されている構造で、翼廊の無い長方形の平面構成を相俟って、眼前に遮るものの無い、広大な内部空間を現出させることに成功している。なかなか文字で表現することは難しいが、堂内に立った時の印象は圧倒的で、まるで体育館か工場のような、側面が天井迄垂直に伸びる壁面で区切られた、長方形の広大な空間の中央に、細い円柱が規則正しく並び天へと伸び上がる様には思わず言葉を失ってしまう。内陣先端部分のPalmier(椰子の木)と呼ばれる、高さ28mにも及ぶ円柱の先からいくつにも枝分かれする深紅のリブヴォールトはまさに南国の木の枝葉のよう。日差しの眩しい南仏の聖堂に相応しい。天井の高いゴシック建築は数多くあるが、アミアンやボーヴェと言えども、一本の円柱が高さ28mにも達することは無く、ゴシック建築中、堂内を支える円柱で最も高いものとなっている。

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~ステンドグラス(1)~

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~ステンドグラス(2)~

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~ステンドグラス(3)~

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~ステンドグラス(4)~

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~回廊(1)~

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~回廊(2)~

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~回廊(3)~

また、深緑、赤、乳白色のコントラストが見事な壁面の柱や、深い赤を基調としたステンドグラスも、この独特な聖堂にさらに一層の個性を添えている。聖堂北側にある回廊も開放感があり素晴らしい。

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~聖エティエンヌ大聖堂西正面~

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~ロマネスク様式の身廊からゴシック様式の内陣を見る、堂内の軸がずれているのが分かる~

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~こちらは内陣から身廊方向を見たところ~

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~ゴシックの内陣~

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~ステンドグラス(1)

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~ステンドグラス(2)~

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~ステンドグラス(3)~

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~翼廊、主廊が側廊に完全に開放されている~

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~翼廊部分~

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~周歩廊礼拝堂の一つ~

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~翼廊と内陣部分~

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~巨大な煉瓦のフライングバットレス~

上記でご紹介した2つの聖堂はいずれも大聖堂(Cathédrale)ではなく、聖エティエンヌ大聖堂という名の大聖堂がちゃんと存在する。こちらも非常にユニークな形の大聖堂で、身廊部分は天井の非常に低いロマネスク様式で建てられ、翼廊から内陣にかけてはゴシック様式で造られている。また、内陣の軸が身廊下の軸からかなり外れており、入口から内陣方向を見ると斜めに立たないと奥が見えない構造になっている。身廊部分は特に特徴は無いが、翼廊・内陣の構成は非常に面白く、翼廊のところの周歩廊部分の壁面が内陣に完全に開放されており、側面に対し大きく視界が開けている。また、内陣外部の煉瓦でできた非常に大きなフライングバットレスも印象的だ。

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~ノートルダム・ド・ダルバード聖堂西正面~

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~珍しい陶器のタンパン装飾~

もう一つ、規模は小さいが、ノートルダム・ド・ダルバード聖堂も、西正面入口タンパンに陶器でできた色鮮やかな装飾が施されている。

ここまでの規模の町で、これだけ統一された色彩で構成されている町は恐らく無いのではないだろうか。また夏の暑い日に訪れてみたいと思う。


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プロフィール

クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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