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バルセロナ大聖堂とサンタ・マリア・ダル・マル聖堂

トゥールーズに一泊した翌日は、先日ご報告したスペイン北部の大火事を大迂回してバルセロナへ向かった。午後一番位には到着の予定だったが、大火事のお陰で、夕方になってしまい、半日観光予定が狂ってしまった。

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~夕闇の降りたゴシック地区の路地~

バルセロナに来るのは実に10年振り、子供が出来る前のことなので、本当に久しぶりだ。マヨルカ島への中継点として位にしか考えていなかったバルセロナであったが、見学したゴシック教会堂、そして特にガウディのサグラダ・ファミリア聖堂が予想を遥かに超えて素晴らしく(今迄も何度か見ているのだが、何故か今回は今迄とは全く違った次元で感動した)、この3つだけで2泊3日の日程の略全てを使ってしまったので、家族からは非難轟々だった。ただ、食事はパエリアやタパス等、本当に美味しく、ここでちょっと挽回することができた。

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~バルセロナ大聖堂西正面~

バルセロナは、説明する必要もないスペイン第二の都市で、カタルーニャ州の州都だ。カタルーニャ語・文化を大切にし、スペインからの独立を今でも掲げる地方色豊かな都市だが、中世の時代には、ヨーロッパの中で最も国際的な、進んだ町であった。スペインは中世初期にはイスラムの勢力下にあったことは周知の事実だが、ここバルセロナも例外ではなく、当時のウマイヤ朝の支配下に置かれていたものの、フランク王国が801年にキリスト教徒の下にバルセロナを奪還する。その後、1137年に成立したカタルーニャ・アラゴン連合王国は、着実に領土を拡大し、13世紀にはマヨルカ島をイスラム勢力から、また、シチリア島をフランスから奪取、14世紀頃にはイタリア半島のナポリ辺りから南、サルディニア島、ギリシャの一部迄をも支配下とする、一大地中海王国を築いたのだ。

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~サン・パウ病院西正面~

こういった異文化との交流や、そこから生まれるコスモポリタンは雰囲気が芸術にも影響を与えないはずがない。フランス南部から入ってきた南方ゴシックがさらに独自の発展を遂げて展開するのは当然のことであった。その首都であるバルセロナには実に素晴らしい典型的な南方ゴシックの例が2つ存在する。その一つがバルセロナ大聖堂だ。

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~バルセロナ大聖堂西正面を仰ぎ見る~

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~大聖堂回廊~

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~大聖堂内陣~

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~ジュベから西正面方向を見る~

大聖堂の正式名称は聖エウラリア大聖堂と言い、女性の聖人に捧げられた大聖堂だ。伝説に拠れば、ガラスの尖った先で満たされた樽の中に押し込められ、通りを転がされて殉教した、となっている。なんとも残酷な話だ(殉教の伝説は大体残酷だが)。バルセロナの守護聖人である聖エウラリアを祭る大聖堂は、1298年に着工し、150年程の年月を経て15世紀半ばに完成した。ただ、西正面は19世紀になって改築されたものだ。

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~側廊から主廊を見る~

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~内陣、非常に高いアーケードが印象的~

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~内陣周歩廊から天井を見上げる~

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~細い円柱が上昇感を強調する~

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~素晴らしい垂直性~

全長90m、天井高26mと、規模としては左程大きくはないが、堂内に入って受ける垂直性、上昇感は、フランスの天井高40m近くを有する主要な大聖堂と比較しても、一層強烈な印象を受ける。これは、主廊の非常に高いアーケートに因るもので、写真をご覧頂ければ良く分かるように、主廊と側廊の天井高の差が殆ど無い。ここまで主廊が側面に対し開放されているゴシック聖堂は他には存在しないであろう。そのお陰で、堂内に広大な空間を生み出すことに成功している。また、トゥールーズのジャコバン聖堂にも共通するが、途中で区切られることのない一本の柱が、高く天井迄伸びていることで、垂直性、上昇感に一層のアクセントを与えている。この、空間を上へ上と押し上げると共に、横方向へも拡大し、「垂直性」と「広大な空間」を生み出すことが、南方ゴシックの特徴と言える。特に広大な空間の創出という点は、イル・ド・フランスのゴシックには見出せないもので、後のホール空間にも通じる、独創的な新しい建築手法であった。

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~ジュベで遮断された内部空間~

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~ジュベの聖職者席~

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~採光塔~

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~ステンドグラス(1)~

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~ステンドグラス(2)~

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~ステンドグラス(3)~

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~ステンドグラス(4)~

ただ、堂内の視界は中央にあるジュベ(内陣仕切り)で遮られている(通常は内陣奥に存在する)。ジュベの中にある木造の聖職者席の装飾が素晴らしい。また、通常は交差部に存在する採光塔が西正面のすぐ後方に存在するのも、バルセロナ大聖堂の特徴だ。堂内には14世紀以降の美しいステンドグラスが非常に多く嵌め込まれており、スペイン独特の繊細でリアルな彫刻群も大変見ごたえがある。石材の色と照明の色が相俟って、堂内全体が黄金色となって浮かび上がっているような印象を受ける。本当に個性的で美しい大聖堂だ。

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~サンタ・マリア・ダル・マル聖堂西正面、無骨な外観だが~

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~堂内には軽やかな空間が広がる~

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~内陣から西正面方向を見る~

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~内陣、この軽快な上昇感!~

バルセロナ大聖堂から歩いて数分のところに、もう一つの南方ゴシックの傑作、海の聖マリア(サンタ・マリア・ダル・マル)聖堂がある。外観はバルセロナ大聖堂とは似つかない無骨な感じだが、堂内に一歩足を踏み入れると、バルセロナ大聖堂なのか、サンタ・マリア・ダル・マル聖堂なのか、分からない位似通った内部構造をしている。大聖堂に遅れること約30年、1329年に建設が着工、1383年に完成している。港から歩いて僅か数分に位置する、別名「海の大聖堂」とも呼ばれるこの聖堂は、当時の港湾地区であった「リベラ」地区の海上貿易に関係する人達、つまり、荷揚げ人、船主、海運商人達からの寄進によって建設された。

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~内陣を見上げる~

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~周歩廊から天井を見上げたところ~

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~素晴らしい垂直性~

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~広大な堂内空間~

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~礼拝堂の祭壇装飾~

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~ステンドグラス~

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~西正面薔薇窓~

写真を見てもらいたいが、バルセロナ大聖堂と同様の建築構造をしているのが分かる。主廊の高いアーケートとそれによる円柱の持つ垂直性、また、広大な内部空間、堂内を歩いていると一体どちらの教会堂の中にいるのか分からなくなる位似ている。ただ、サンタ・マリア・ダル・マル聖堂には中央部にジュベは存在せず、石材も明るいものを使用しているので、バルセロナ大聖堂よりも一層広がりのある内部空間を現出している。拡がりのある明るい空間、正に「海」の大聖堂と呼ぶに相応しい。西正面薔薇窓にも太陽の光線が描かれており、海に関わる人々が、ここを心の故郷として名付け、慕ったのも良く分かる気がする。

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~西正面~

あまりに素晴らしいゴシック建築だったので、この二つとガウディのサグラダ・ファミリア聖堂を見るだけで略丸一日を使ってしまった。「つまらない」と文句を言う子供達を、「今夜はフェリーに乗ってマヨルカ島に行くぞ、着いたら海だ!(最初の2日はパルマに滞在で大聖堂を見るのだが)」と宥めながら、フェリーに乗り込んだ。翌日からはマヨルカ島だ。


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とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
プロフィール

クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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