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エドワード・ホッパー展

まだスペイン旅行の続きが終わっていないが、先週末、グランパレで開催されていたエドワード・ホッパー展に行って来た。これは昨年の10月から開催されており、ずっと行きたいと思っていたのが、なかなか機会を作れず、終了間際の週末土曜日にようやく行くことが出来た。何せ大人気の展覧会で、何と58万人もの入場者を記録したらしく、当初1月末終了予定だったものが、一週間期間が延長となったものだ。朝8時半に行ったのだが、もう既に100人程度が並んでおり、入場するまでに一時間半もかかっってしまった。

いやいや、それでも並んだ甲斐は十分にあった。と言うより、行かないまま終わってしまってしまったら大後悔するところだった。本当に素晴らしい絵だった。彼の絵は独特で、鮮やかな色彩、光と影のコントラスト等が特徴の、まるでポスターか写真のような絵画なのだが、実際見てみると大違いで、とっても恐ろしい絵だった。これは何もおどろおどろしい、という意味ではなく、絵の中に閉じ込められた時間と空間にもし足を踏み入れてしまったら、もう二度と抜け出せないだろう、と思わしめる恐ろしさがそこにはあるという印象を持たされた絵だった。

どの絵も時間が完全に止まっており、そこでは何も動くものが存在しない。人物が登場する絵もあるが、全く動きが無い、というよりもまるでマネキンのように固まっている感じだ。目は黒く塗り潰され、表情も無い。

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こちらはかの有名なナイトホークス。映画の題名になる程、後の様々な芸術分野で影響を与えた絵画だが、カップルが並んでカウンターに腰掛けているものの、そこには会話は存在しない。手前に座っている背を向けた男も、まるでショーウィンドーの飾りかのように動かずじっとそこに座っているだけだ。壁を全て取り払った一際大きな窓が、店の中の異様な明るさと、外の暗闇との対比を引き立たせる。町には人の気配が全く感じられない。店の中にだけ、人形のように動かない人間が取り残されている。

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「ドラッグ・ストア」。こちらはナイトホークスの人物が存在しないバージョンとでも言おうか。人気の無い不気味さが店内と軒先の明りにより、一層強調されている。

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「Chop Suey」という題の絵。カフェの店内だろうか、二人の女性が向き合って座っている。ここでも絵画の中の時間は静止している。こちらを向く女性の瞳は黒く塗り潰され、光の当たっている部分の異常な白さがこの女性から生命を奪っている。こちらに背中を向ける女性は、瞳の無い女性の話など全く関心が無いということを背中で物語っているよう。

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「Office at Night」

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「Conference at Night」

これら二つの絵も、中の人物はお互いに相手の存在を自分の世界から消し去っているように見える。そこには会話や相手に対する関心が全く見えない。後者の絵では、ベッドに座った男はただ空虚に向かって話すだけ、メイドのような女性も窓のはるか向こうを眺め、なにやら話している男の声はおろか、そこにいることさえ、認識していないように見える。

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「Railroad Sunset」

こちらはその他のホッパーの作品とは一風変わった絵で、描かれている風景の中に人の気配が感じられないのは他の作品と同じだが、暗闇ではなく夕陽で孤独、空虚を表現しようとしているのだろうか。手前に描かれている線路にはきっと列車が通ることなど、無いのであろう。ここには人の生活は無く、ただただ、毎日、夕陽の落ちる時が訪れてくるだけだ。

現代絵画には今まであまり興味が無く、見たことも無いので、殆ど無知ではあるが、これ程までに、絵画の中に、時間・空間を閉じ込めることのできた画家はいないのではないだろうか。本当に素晴らしい作品だった。見ることができて、本当に良かった。

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クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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