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ルーアン大聖堂(2)-夏の夜のスペクタクル-

ゴシック大聖堂の西正面に映し出される素晴らしいライトアップショーは今迄も何度かご紹介してきたが、特に夏休みの間には各地で趣向を凝らしたものが実施される。今日は、随分前にご紹介した、ルーアン大聖堂の新しいライトアップショーをご紹介したい。

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~ルーアン大聖堂西正面~

前回ご紹介した時には、モネの絵をライトアップとして西正面に映し出す、という粋なスペクタクルをご紹介した(2004年のこと、もう10年近くも前の話になってしまった、年を取るわけだ)が、あれはすぐに終わってしまった。大変素晴らしい出来だったので残念に思っていたら、今年はまたもや面白い演出をやるという、早速見に行って来た。

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~モネの睡蓮が映し出された西正面~

「光の大聖堂 « Cathédrale de Lumière»」と名付けられたこのライトアップショーは2部構成になっている。第一部は、印象派を主題にした«Première impression (第一印象)» 、そして第二部は、この地で処刑されたジャンヌ・ダルクを主題にした«Jeanne(s)(何故複数形となっているのかは後でご説明する)»という題で、計25分位のショーだ。これ迄にもいくつかご紹介してきたが、大聖堂のライトアップショーは、単に光で照らすだけのものではなく、年々手の込んだものとなってきている。特に、東京駅のライトアップで昨年有名になった、プロジェクションマッピングと呼ばれる映像技術が多く取り入れられてきており、このルーアン大聖堂のショーも、同じくプロジェクションマッピングによるものであった。

まず第一部から。

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~雨脚が西正面を滑り落ちる~

最初は雨の情景が映し出される。絹糸のような細かい雨脚が上から下へと止むことなく落ちていく。


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~川に小舟が浮かび~

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~睡蓮の花が鮮やかに開く~

大地へと降りしきる雨は次に川の情景へと変わる。ここからは明らかに印象派画家、モネへのトリビュート。川を真上から見下ろした情景が映し出されるが、深く、澄んだ青がモネの絵画を思わせる。船着き場、人が次々と浮かび上がり、幾艘もの小舟が現れる。そして大きく鮮やかな睡蓮の花が開き、西正面を満たしていく。

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~夕焼けに燃える西正面が~

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~陽が落ち、藍色に変わる~

ここでまた場面は変わり、西正面に時間と四季の移り変わりが映し出される。最初は燃えるような夕焼け。モネのルーアン大聖堂西正面の連作を思わせる。そして、夕陽が沈み、夜空に溶け込んでいくかのような藍色へと変化する。

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~正しくジヴェルニーの庭園~

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~鮮やかな色彩の饗宴~

次の場面はモネが晩年過ごしたジヴェルニーの庭園。これは本当にまるで彼が描いたカンバスのよう。色取り取りの花々が咲き乱れ、鮮やかな葉の緑が映える色彩のハーモニー。左下には、彼が好んで描いた日傘の婦人までが登場する。小粋な演出だ。

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~未来社会の「印象」~

今度は打って変わって「未来社会」の印象場面となる。点と線が西正面に幾何学模様を描く。

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~西正面がパレットと油絵のカンバスになる~

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~こちらは子供の楽しい塗り絵~

最後は遊び心満載の一幕。西正面の真ん中左下辺りにパレットが出現し、西正面が様々な色彩の絵の具で描かれていく。そして次にパレットのある場所が色鉛筆箱になり、子供の遊び声と共に西正面が塗り絵の題材となる。いかにも子供が塗ったような鮮やかな色彩で彩られ、第一部が終了となる。

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~燃え盛る炎、ジャンヌ・ダルクを焼く業火~

少しの間を置いて、第二部«Jeanne(s)»が始まる。ジャンヌ・ダルクのことは説明するまでも無いだろう。英国との百年戦争(1337-1453年)において、劣勢だったフランス軍を率いてオルレアンを解放し、フランスを勝利へと導いた英雄だが、最後は、異端のレッテルを貼られ、ルーアンで火刑に処された悲しいヒロインだ。死後、復権裁判が行われ、現在では聖人に列せられている彼女は、フランス人にとって特別な存在であることは間違いなく、こういったショーの題材としても選ばれるのであろう。

最初の場面は、西正面全体が炎に包まれるところから始まる。めらめらと燃え盛る炎は、ジャンヌの処刑を表しているよう。

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~大地から伸びる樹木と蔽い茂る葉~

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~設計図のように線引きがなされた西正面~

続いて、大地から樹が生え、大きな幹となり、豊かな葉を茂らせる場面。ジャンヌの再生を暗示しているのだろうか。
次に設計図が浮き出るかのように、西正面の構図が線で描かれる。

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~ステンドグラスが映し出される~

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~パラパラとトランプをめくるように映像が変わる~

一転、色彩豊かな明るい画面へと変わり、映像としてのステンドグラスが映し出される。ジャンヌの生涯の各場面が次々と入れ替わり、現れる。

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~剣を受け、軋み歪む~

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~一面トランプのカードへと変化し~

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~戦の炎が燃え盛る~

今度は百年戦争に場面が移り、戦の喚声が流れる中、甲冑を纏ったかのような西正面となり、剣のぶつかる音に合わせ画面が軋み凹む。その後画面はトランプのカードで埋め尽くされ、一枚一枚積み上がり、崩れていく。そして、黄金色にゆらめく戦の炎が場面を変える。

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~蔦が絡み上に伸びる~

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~葉は枯れ、枝のみが残る~

次に映し出されるのは、第一部とは少し違った形での四季の変化。最初は、壁面に緑の蔦が絡まる様が現れるが、季節が変わり、葉が落ち枯れた枝のみが悲しく残る。

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~寒く冷たい冬~

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~一面氷で覆われる~

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~そして季節はまた春に~

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~一旦元の大聖堂を映し出し~

凍てついた冬が訪れ、西正面も一面氷で覆われる。そしてまた季節は巡り、春となって、蔦に若い葉が芽吹く。死と再生が、ここでもジャンヌの生涯と重ねて表現されているようだ。

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~ジャンヌの声と写真が重なる~

ここからが最後のシーン、一旦普通の西正面へと情景が変わると、"Je m'appelle Jeanne(私の名前はジャンヌ)"という声と共に、女性の顔写真が映し出される。これはルーアン在住のジャンヌという名前の市民を募り、一人一人、写真と声を記録し、西正面に映し出していくというもの(ということで第二部の主題のJeanneが複数となっているのだ)。写真の数がどんどん増えると共にJe m'appelle Jeanneの声が重なり合い、ジャンヌ・ダルクの精神がフランス人の心の中に今でも受け継がれているのだ、ということを示しているかのようにも思える。一面は無数のジャンヌの顔写真で満たされたところで、青い光が当てられ、第二部の終了となる。

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~青い光が当たりショーは終わる~

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~その後、通常のライトアップへ、こちらの方が幻想的か~

なかなか素晴らしい光と音のスペクタクルだった。ただ、どこの大聖堂も、昔に比べ、段々と手の込んだショーになってきて、大聖堂本来の美しさを別の角度から見せるというよりは、エンターテイメントの要素が強くなっているように思える。勿論、このような幻想的なショーをタダで見ることができるのだから、大変有難いことには変わりないのだが、漆黒の闇夜に白いライトを浴びて無言で聳える大聖堂も、それはそれで大変美しいものだと思う。


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No title

とても綺麗で見ていて心を奪われました。
是非、一度、実際に見てみたいものです。

日本でいい感じのゴシック建築は無いものか……w
プロフィール

クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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