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サントゥアン教会堂(ルーアン)

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~サントゥアン教会堂西正面~

ゴシック建築は、シャルトル、ランス、アミアンの所謂古典ゴシックの流れの中で、天井は高く、フライングバットレスは軽快に、柱は細く垂直性が強調され、様式を特徴付ける構造がより洗練されたものへと発展し、1272年に内陣が献堂されたボーヴェ大聖堂においてその頂点を迎える。その天井高は48mにも及ぶが、1284年に一部が崩壊、その後修復・建設が再開、157mの中央尖塔が完成(1573年に倒壊)するも、その後は100年戦争による経済の疲弊もあり、構造に対する実験精神は衰退し、フランボワイアン様式のような細部の装飾に目が向かっていくことになるのだが、一部ではその精神は受け継がれ、新たな挑戦が行われていった。スペインのパルマ大聖堂や、ポルトガルのバターリャ修道院付属礼拝堂等、南方ゴシックの開花がその例の一つだが、ゴシックの揺り籠となったイル・ド・フランスのすぐお膝元であるノルマンディーでも、斬新な実験精神の跡が見られる。それが、今日ご紹介するルーアンのサントゥアン教会堂だ。

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~後陣、見事なレイヨナン様式~

正式名称はEglise abbatiale de St Ouenといい、修道院付属の教会堂だが、ノルマンディー地方で最も勢力を誇っていたベネディクト派に属する。ちなみにこのベネディクト派修道院は、ノルマンディー港町Fécamp(フェカン)で27種のハーブをベースにしたBénédictineという蒸留酒を造っていたことでも知られており、今でも当時の製法を遵守したリキュールを製造している。試飲も兼ねたツアーが建築物としても素晴らしい蒸留施設で実施されているので、機会があれば是非訪れてみて欲しい。

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~Palais Bénédictine~

話が少し逸れたが、現在のゴシック建築が着工されたのは1318年、1339年には内陣の完成を見るが百年戦争の影響により建設のペースは鈍化、外陣が完成したのは15世紀の後半のことであった。

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~交差部の中央塔~

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~交差部~

天井高33m、全長134mと非常に巨大で、ルーアン大聖堂(天井高28m、全長137m)と比べても、どちらが大聖堂か見紛う位の規模だ。交差部にある中央塔は「ノルマンディーの王冠」と呼ばれるフランボワイアン様式の傑作で、82mの高さを誇る。西正面も大変美しいが、これは19世紀半ばの建設されたネオゴシック様式。

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~ネオゴシックの西正面~

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~拡大部分~

サントゥアン教会堂の建築上の斬新さはその外観に見られる。まずは、以下主要ゴシック大聖堂のフライングバットレスの写真を見て欲しい。

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~(左上から時計回りに)シャルトル、ランス、ブールジェ、アミアン~

お気付きの通り、通常フライングバットレスは上下二段となっており、上段は屋根に掛かる風の横圧力を受け、下段が建物自体の自重、外に倒れようとする力を支える役目を担っている。ところが、以下、サントゥアン教会堂外陣のフライングバットレスは中間も位置に一つあるだけだ。

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~一つしかないフライングバットレス~

つまり、風の横圧力と自重の二つの力を一つのバットレスで支えていることになる。いつも参照させて頂く、ロバートマーク氏の解析によれば、側廊屋根部分に構造以上の力が掛かっているとのことで、実際のその部分を確かめてみると亀裂が見かれ、定期的に石材の交換が行われているようだが、それでも、ゴシック様式の頂点とも言われるアミアンやボーヴェにおいても実施されなかった斬新な発想がサントゥアン教会堂で試みられ、現在でも未だその役目を果たしているという事実には驚かされる。

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~後陣のフライングバットレス、他のゴシック建築同様、上下二段となっている~

また面白いのは、建設当初に手掛けられた後陣のフライングバットレスは上下二段になっていることだ。最初に試して問題が発生したから元に戻したのではなく、建設の途中で大胆な実験を試みた、ということで、これこそがゴシックの精神なのだろうと思う。

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~身廊、アミアン大聖堂を彷彿させる垂直性~

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~交差部から内陣を見る、円柱が天井迄遮ることなく伸びる~

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~高いアーケードとステンドグラス化されたトリフォリウム~

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~非常に明るい堂内~

堂内に入っても、斬新な構造に接することができる。身廊側面のアーケードが非常に高く、細い円柱と共に、垂直性が強調されている。また、トリフォリウムがステンドグラス化し、大変明るい堂内となっている。垂直性、光、いずれもゴシック建築が目指したものだ。

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~内陣高窓層のステンドグラス~

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~交差部と内陣のアーケードの高低差~

窓には14、15世紀のステンドグラスが数多く嵌め込まれている。

ここルーアンには、今迄にご紹介したルーアン大聖堂、フランボワイアン様式の傑作であるサン・マクルー教会と共に、今回のサントゥアン教会堂と、数多くの素晴らしいゴシック建築が存在する。また改めてゆっくり鑑賞に訪れたい。

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クータンス

Author:クータンス
学生時代からフランスとゴシックの大聖堂に魅せられ、紆余曲折の人生を歩んだ結果、フランス永住の道を選択しました。
ここでは、フランスを中心としたゴシックの大聖堂を紹介したいと思いますが、フランスでは夜になると大聖堂は勿論のこと、殆どの歴史建造物がライトアップされます。また、単なるライトアップのみではなく、いくつかの大聖堂では、素晴らしい光のスペクタクルを見せてくれるところもあります。こういった大聖堂の写真も一緒に載せていきたいと思います。

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